

京都市は「中小企業・事業者のまち」といわれるまちです。中小企業・事業者は、(1)地域の雇用を支え、(2)ものづくりの基盤を担い、(3)地域に密着して、まちづくりと文化を担っています。特に京都の場合、歴史と伝統に培われたものづくりの技術の蓄積があり、祇園祭を支える「町衆」に代表されるように、地域の行事やコミュニティを、市民と協力してつくりあげてきました。「利益だけあげればよい」という考え方とは正反対のものです。
また、大量生産・大量消費・大量廃棄という経済システムから、地域密着、リサイクルを軸にした環境に優しい経済システムへの転換が求められる時代です。「量」の勝負・追求では、個性やゆとりはできません。中小企業は「個性」豊かなものをつくり、人間性あふれる「質」のサービスを提供しています。市民が、地域でそれを使うことによって、京都の経済だけでなく社会や文化も、未来に向かって豊かに維持・発展させることができます。中小企業・事業者のまち・京都が発展する可能性がより広がっている時代です。
こうした重要な役割を果たす、中小企業・事業者を単なる「保護する対象」とするのではなく、地域づくり・地域振興にとって、もっとも頼りになる主体として位置づけ、中小企業・事業者の活力増進にとりくむ戦略的視点が市政に求められています。

京都市には、産業基盤の整備や市民のくらしにかかわる都市計画・建築・土木・住宅・上下水道から福祉・保健・交通・教育・文化の各行政分野にかかわる大きな権限があります。また一般会計だけで約7000億円、特別会計・公営企業会計も合わせると年間1兆7500億円を超える予算を持っています。この財政支出が市内にくまなく循環し、波及効果が拡大するよう、持っている力を最大限に発揮すれば、地域経済の振興に京都市も多大な貢献をできると確信します。
法人市民税の法人税割は、資本金10億円以上の企業分が、90年度187億円から06年度197億円へ増加しているにもかかわらず、資本金5000万円以下の法人分は、90年度170億円から06年度74億円へと半分以下に減少しました。行政リストラ・予算削減にひた走る市政運営では、悪循環に陥ってしまいます。市民の懐を温め、中小企業・事業者を振興し、中小企業の担税力を向上させることが、市財政を豊かにし、安定化させる道ではないでしょうか。

地元の中小企業が直接入札できるように仕組みを変えます
京都市の公共工事は、入札をおこなうものだけでも年間1千件以上あります。しかし、工事費総額に占める中小企業への発注率は約60%(06年度)と、バブル期以前の80年代中盤の80%台から低下しています。大型事業は東京・大阪などに本社があるゼネコンが落札しています。「分離・分割発注」の拡大など、京都市の公共工事入札の仕組みを、公平性を保ちつつ、1件あたりの価格を引き下げ、地元業者が直接入札・落札できるように変えます。また、入札をおこなわない小口工事なども、地元業者へ発注するよう努めます。同和をはじめ一部業者の利権あさりを許しません。新たな財政支出は必要ありません。

地域経済波及効果が大きい耐震・防火・バリアフリーを目的にした住宅・マンション改修への助成制度を創設・拡充します。とりわけ、条件が厳しく利用が進まない、いまの京都市の耐震改修補助制度の条件を、すべての地域を対象にしたうえ、寝室など住宅の一部の耐震改修でも利用できるようにするなど緩和します。町家や古い木造住宅が多く残っている京都こそ、この政策を先進的に進められるはずです。

貧困と格差拡大の大きな要因に、雇用現場における非正規雇用の拡大があります。京都の若者の雇用形態は派遣やパートという非正規雇用が5割を超えています。京都で働き暮らそうとするみなさんが人間らしく働けるよう正面から雇用問題に向き合います。
京都市が先頭に立ってその改善をはかるため、公共工事の下請け業者も含めた現場労働者の労務単価確保を入札条件とするなど、適正な雇用形態や雇用条件を京都市発注先選定の要素とすること等を定めた条例(「働き方を変える京都市公契約条例」)を制定します。
談合の排除、節約に努めることは当然ですが、公共工事は安ければやすいほどよい、というものではありません。近年、ダンピング競争のなかで、仕事の質の低下が問題になっています。適正な価格で公共工事がおこなわれるよう、市内中小企業・事業者の実態調査やヒアリングを充実させ、中小企業・事業者が不利益を受けないようなシステムを構築します。京都市が発注する仕事で、「ワーキングプア」を生み出さないようにします。
京都市が事業を民間に委託するにあたっても、委託契約の条件として、現場で働いている人の賃金と雇用条件を適正なものとすることを規定します。あわせて、京都市の公務職場で働く非正規雇用職員の権利の向上をはかるとともに非正規雇用の解消に努めます。

国に「消費税増税やめよ」とキッパリ言います
自民・公明両党は、2008年度「税制改正大綱」で、09年度にも消費税増税をはかる考えを打ち出しました。
中小企業・事業者の営業、住民の生活破壊の消費税増税にはキッパリ反対し、能力に応じた負担を大企業・大資産家に求めるよう税制の転換を国に求めます。
償却資産税の免税点の引き上げを国に求めます
事業用資産設備にかかる償却資産税は、利益の有無にかかわらず課税されるもので、「応能負担」の原則に反するものです。現行の150万円の免税点を、中小企業には1000万円まで引き上げるよう国に求めます。
中小企業団体への法人市民税軽減措置を復活します
中小企業・事業者のみなさんが、業種や事業目的別に結成している組合・団体、商店街の振興組合などの独自の活動は、中小企業・事業者間の連携・創意工夫を保障する大切な組織であることは言うまでもありません。その活動を支援するため、2003年度まで京都市が実施していた中小企業団体への法人市民税軽減措置を復活します。

建設業・京友禅や西陣織などの繊維染色業・窯業・印刷出版・クリーニング・銭湯・運輸など広範な業種に、石油類や原材料価格の高騰による深刻な影響が出ています。京都市自身がおこなった中小企業経営動向実態調査でも「原油をはじめ原材料費相場は上昇傾向にあり、販売価格に転嫁できる企業とできない企業の格差は続く」と述べており、対策が緊急に求められています。
政府に、下請けへの不当な単価押しつけをやめさせる指導をおこなうよう求めます。石油類にかかる税の引き下げを求めます。
京都市独自に、制度的安定を図りつつ、緊急の「超低金利」融資を実施するとともに、既往の京都市制度融資の返済一時停止や繰り延べを実施します。

宇治市や城陽市、久御山町をはじめ府内でも複数の自治体が独自に利子および保証料の補給をおこなっています。かつて京都市も、少額融資への保証料補給をおこなっていました。「小規模おうえん融資」など、中小企業向け融資での利子補給の実施、保証料補給を復活します。
「業績回復までの返済猶予」など、経営の実態に合わせた融資対策を講じます。
中小企業支援センターにおいて、中小企業診断士などの体制を拡充して、制度融資の円滑な実行に、京都市が責任をもってあたります。そのために、03年まで実施していた融資あっせん業務を復活します。

高すぎる京都市国民健康保険料を引き下げます
京都市は、市内に11ある国保組合への補助金を50%削減を決め、07年度から段階的な削減を始めました。さらに、後期高齢者医療制度が開始されれば、国保組合にとっても財政的な困難な状況を生み出します。励ますどころか、補助金を削減するなど許されません。増額に踏み出します。
国民健康保険医療費の一部負担金の減免申請における資産報告義務を撤回します。京都市国保の高すぎる国保料を引き下げ、「命綱」の保険証の取り上げはおこないません。
06年までの5年間に、市内の事業所(民営)は10.1%、8,646事業所が減少。全国平均6.8%を大きく上回り、政令市の中でワースト3の減少率です。
京都の経済は、地域の暮らしやまちづくりと深く結びついた西陣織や京友禅などの繊維産業をはじめとする伝統・地場産業や観光関連産業など個人消費に支えられた業種が大きな比重を占めてきました。それだけに、国の「構造改革」や「規制緩和」、消費低迷の影響がより深刻に現れています。京都市は、消費税増税(97年)や所得税・住民税増税、医療保険の改悪など国の負担増に追い打ちし、現市長の12年間だけでも385億円の負担増を市民に強いました。
伝統産業振興費や中小企業対策費(制度融資預託金は除く)は減らし続ける一方で、交付実績の9割近くが資本金3億円超の3社で占められる企業立地補助金、南区のキリンビール工場跡地の超大型開発など、「呼び込み型」開発を継続しています。JR京都駅八条口の超大型商業施設のためには、駅から直接連絡する歩道橋を税金でつくる計画です。


大型事業よりも、「生活密着」型の公共事業の方が、地域経済にも雇用にも効果が高いと言われています。市民生活の安定・向上抜きに、経済振興は考えられません。命とくらし第一に、社会保障や市民生活を支える基盤整備を充実させることと一体で、経済・産業振興施策を進めます。
いま全国各地で、地域に根ざした中小企業・事業者と自治体が力を合わせた地域経済の再生をめざすとりくみが始まっています。
大阪府八尾市の「中小企業地域経済振興基本条例」は、大企業の役割についても言及し、「地域経済の振興に努めるものとする」と明記。ある大手企業の工場閉鎖に際し、市長が申し入れをおこない、障がい者の雇用継続を保障させる実績をあげました。
また、千葉県の中小企業の振興に関する条例では、「地域づくり」の重要な核として中小企業の振興を位置づけ、大企業に「地域の活性化」や中小企業の振興に関する県の施策に「協力するよう求める」とし、大企業にも中小企業の育成を求めています。県は年1回、施策の実施状況をとりまとめて公表し、中小企業者や関係者の意見を聞き、施策をより効果的なものにするよう努め、「必要な調査及び研究」「必要な財政上の措置を講ずる」としています。
大企業が雇用や流通に及ぼす影響は多大です。適正な下請け単価の保障、雇用の確保・労働条件の向上に努力するなど、その力にふさわしい地域経済への貢献を求めます。京都市、中小企業・事業者、大企業の役割を明記した「中小企業振興条例」を制定し、京都経済の振興にとりくみます。
京都市ではいま、京都に集積した大学・研究機関のもつ知識を生かした「産・学・公」連携による桂イノベーションパーク構想や大学連携型インキュベーション事業などがとりくまれています。今後の京都経済の発展に欠かせないことであり、未来の人類の生活をより豊かにする技術革新・新商品の開発など、その成果が一部の企業にとどまることなく、広く市内の事業者や市民に波及することが期待されています。
そのためには、多くの中小企業・事業者がこのとりくみに関わり、成果を享受するチャンスをもてるようにする役割が京都市には求められます。新商品開発、販路拡大、事業者同士の交流、融資、人材育成などなど、多様なニーズに対応していけるように体制を強化します。

中小企業経営者・事業者や従業員は、地域の行事やお祭りを支えるなど、地域コミュニティや文化、景観からなる「京都らしさ」を生み出し、継承してきた主役でもあります。
地方自治を発展させ、各行政区の特色を生かした地域づくりをすすめるため、草の根民主主義と市民自治の力に依拠し、住民が地域の主人公となるようなシステムづくりをめざします。それが「区民協議会」です。地域のネットワークの拠点として区役所を活性化させ、各行政区の自主性を尊重し、区独自の予算も配分し区長権限を強化します。住みよい環境とあたたかい地域社会づくりをめざして「自分たちの地域は自分たちで創っていく」という立場から、民主的に選任された区民協議会委員によって、住民が納得できる住民の意思を尊重したシステムをつくりま
す。ここに経済政策と運営の体制をつくり、地元中小企業・事業者振興を軸にした地域ごと・業種ごとの施策を実施し、安心して暮らせる地域づくりと一体で進めます。
異業種交流、医療・福祉・子育て・環境など地域生活に密着した「コミュニティビジネス」の起業や企業間ネットワークの形成、コーディネーターの養成をはかります。商店街・NPOなど地域組織の独自のとりくみを財政的・人的にも支援します。区民協議会を地域経済再生の場にします。

地域の大型店は、市民生活に大きな影響を与える存在です。大型店に「地域づくりへの協力」「地域と連携した地域経済活性の推進」「地元産品の販売促進・需要拡大」「地域雇用確保への協力」など、地域貢献のための計画を持たせ、実施を促していきます。商店街振興基本条例を制定し、全国的なチェーン店、大手商店も商店街組合等に参加することを促進し、地域社会に積極的に貢献するよう求めます。活気あふれる商店街づくりの支援をおこないます。
既存商店街においては、駐輪場や公共交通の整備、空き店舗を利用した市民のための施設など、商店街独自のとりくみに対する補助制度を創設して支援します。お年寄りから赤ちゃんまでだれもが安心して集える空間として、商店街を育成します。

中小企業団体や自治体からの激しい批判をうけ、「まちづくり三法」を見直して郊外型大型店の出店を抑制する法改正がおこなわれました。しかし、JR京都駅周辺の大型店ラッシュにみられるように、市街地での出店には歯止めがかかりません。
京都市は、1981年に市議会で「スーパー凍結宣言」が決議され、商店街を中心とした市民の力が大型店と対抗し、過度な出店を抑制してきたまちです。ところが、京都市の「商業集積ガイドプラン」は、店舗面積について「無制限」や「20000以内」(既成市街地内工業地域)の地域を定めており、事実上の「大型店誘致プラン」となっています。京都市独自に大型店出店を規制するとともに、地域貢献を求めることができる条例を制定します。国にたいしては、需給調整の禁止を定めた大店立地法の条項を削除するよう求めます。

「スローライフ」運動の広がりに代表されるように、いま国民の生活スタイルの変化・多様化が進んでいます。町なみや京野菜・京料理などの「京都ブランド」と結びついた観光産業との立体的融合をはかれば、伝統産業にとって新たな需要を生み出すチャンスです。
職人が持っている技術を生かすとともに、販売力・企画力を身につけ、新たな地域コミュニティビジネスを生み出せるよう、支援します。
伝統産業活性化推進条例を実効あるものにするため、伝統産業予算を大幅に増額します。和装の信頼を回復するため、「取引・販売のルール」確立やマルチ商法の規制など京都市独自の行政指導をおこないます。担い手である職人が、技を身につけるまで、その後も伝統産業に従事し生活していけるよう、雇用・生活の支援をおこないます。伝統の技を次代に継承する若手後継者をヨーロッパなどの職人学校への留学制度を創設します。
伝統・地場産業と京都の大学や民間の優れた人材が連携し、雇用と仕事を生み出すことをめざします。
かつて富井清市長(1967年〜71年)は、「京都の中小零細企業を守り育てることが、暮らしに密着した市民経済を確立する道」とのべ、蜷川虎三知事とともに、無担保無保証人融資制度を開始。その後、全国に広まりました。また、伝統産業技術後継者育英制度を創設するなど、京都経済の特徴にかみ合った政策を展開してきました。
近年でも、「不良債権」あつかいされ融資の道を閉ざされた中小企業・事業者の叫びと運動が、「あんしん借換融資制度」(03年)を実現。その成果は、国が借換保証制度を創設するなど、全国規模に発展しました。
また「ものづくり産業調査」は、京都市は「実態調査をして景気がよくなったという話は聞いたことがない」と消極的だったものの、市民の粘り強い働きかけで03年に実施されました。05年の「伝統産業活性化条例」制定につながり、その調査データは「ものづくり企業えんむすび事業」(05年から)に生かされ、300のマッチング、90の新しい取引・提携をつくりだしています。
京都の中小企業・事業者の運動は、行政を動かし、全国に誇る数々の施策を生み出してきた歴史をもっています。